ロクロ天井(1471m)・焼山(1709m)ルート:阿木林道ゲート→(ロクロ沢林道)→ロクロ天井→(市境尾根)→焼山→(作業道)→(阿木林道)→ゲート登山道地図登山日:2004年3月13日 登山口:岐阜県中津川市 天候:晴れ テーマ:残雪期縦走シリーズ第一弾、ぎふ百山 ガイドブック:『美濃の山々3』、『続山旅徹底ガイド』など 同行者:単独 時間記録:行き……5時間50分、帰り……3時間30分
【はじめに】 ロクロ天井と焼山は名前すらあまり知られていない山ですが、ヤブ山愛好家なら一度は登ってみたいと思う名峰です。しかしながらそのピークへの道のりは容易でなく、本ページの山行も、普段から地図とコンパスを利用してヤブ山に行っていて、かつ体力と計画立てに自信がある者でないと日帰りは厳しい行程になっています。安易に真似をせぬようご注意ください。 【ロクロ天井について】 『続山旅徹底ガイド』によると「ロクロ天井」の山名は岐阜県山岳界の最高の精通者とされる、故 酒井昭市氏が、かつてこの辺り一帯は木地師の活躍の場であったことをしのび、命名された山名である。地形図に山名の記載は無く、「三角」とも呼ばれるのだそうだ。 木地師とは普段聞かない言葉だが、辞書を引くと「轆轤(ろくろ)を使って椀や盆など、木地のままの器物を作る職人。かつては良材を求めて山から山へと渡り歩いていた。明治以降、急減。」と書いてあった。 ロクロ天井へは前々から登りたいと思っていて、天狗森山・橋ヶ谷山に登った際に北側からのルートを下見して、さてどうしたものかと困ったものだった(日記)。しかし、つい2ヶ月前にHP「雲よりも高く」さんがロクロ沢林道から登頂されたので(ココ参照)、本日はその記録と同じルートでロクロ天井まで行き、さらに主稜線で焼山まで縦走する計画をたてた。 【焼山について】 焼山は平成10年の県体の舞台となった山である。黒井沢林道・上手山峠経由で登るのが一般的とされているが、黒井沢林道の土砂崩れ通行止めに伴い、すっかり遠くなってしまった山である。2万5千分の1地形図ではピークに「焼山」と表記されているが、地形図そのものの名前は「美濃焼山」となっている。 この山は由来はよく分かっておらず、いろいろと考えるのが面白い。一般的に「焼」がつく山名は火山に関するものが多い。実際、『山岳ルーツ辞典』の焼山の項には「噴火活動によって、山肌が焼けただれているように見える山や、多く赤褐色している山」と書いてある。しかし『ぎふ百山』によると「カコウ岩でできているが、すぐ西の天狗森山は古生層ということから考えあわせて、どうも火山には縁が無さそうだ」と書いてある。ひょっとし「美濃の焼山」でなくて「美濃焼の山」ということか?しかし窯の跡など全く無さそうであるし、粘土がよく取れるというわけでも無さそうだ。麓から見ると朝日がよく浴びていて焼けていたように見える山だとか……いろいろと考えて遊んでみる。 【入林許可について】 ロクロ天井・焼山周辺一帯の国有林区域は入山許可が必要と各ガイドブックに書いてあった。そこで管理されている東濃森林管理署(TEL:0573-82-2108)に事前に問い合わせておいた。山好きの個人がゲート前に車を止めて入山するのなら、特に書類申請は必要ないとのことだった。半年前に問い合わせた時と違うことを言うので、「ガイドブックに入林許可が必要だと書いてあるが、本当にいいんですね!?」と念押ししておいたが、やはり大丈夫のようだった。ゲートの鍵を開けて車で林道の奥まで入る場合のみ書類申請が必要であるような印象を受けた。逆にいうと、申請すれば長い阿木林道を車で奥まで行けるということかもしれない。 【計画について】 ヤブ山のバリエーション登山にガイドブックなど存在しない。自分で歩行距離や予定通過時間、エスケープルートなどを考慮し、しっかりと計画を立てなければならない。今回は林道登り30分/km、登山道登り60分/km、縦走路50分/km、登山道下り40分/km、林道下り20分/kmのペースで予定到着時間を算出した。予定通過時間と実際の通過時間は大幅のズレもなく、今回は上手に計画が立てられたと思う。登山道の下りは45〜50分/kmでも良かったかもしれない。ちなみに当初の計画では全行程時間は9時間20分。林道の状況が悪く、風神神社までしか車が入らなかったとしたらプラス1時間30分であった。 【登山口】
【廃屋】
【作業道】
【主尾根へ】
【ロクロ天井】 主尾根が直角に曲がるところで一服し、あとは尾根一本道でロクロ天井に到着した。赤色のプレートにマジックで「ロクロ天井」と書かれているだけだった。春霞で遠望は利かないが、掃木沢山、鯉子岳、大川入山らしき山は確認できた。
【縦走路へ】 雪がゼロだったらとてもじゃないが入れない縦走路へと突入。太い尾根伝いに歩いていたら分岐を見落としてしまった。途中で左に曲がる感じで細い尾根に取り付いた。目印テープはこの1つのみで焼山付近までずっと地図を見ながら歩くことになる。こうして無事に焼山へと続く縦走路に入った。
【熊!?】
【おむすび岩】
【ロクロ天井】
【難所】 ガレたやせ尾根が1箇所、潅木混じりの激ヤブが2〜3箇所あった。
【絶景】 焼山に近づくにつれて視界が広くなる。ロクロ天井に登っているときから見えていた焼山西にある1628mピークがどんどん近くなり、綺麗な山容を見せてくれる。笹原の尾根がたくさんあるが、1582m峰付近の笹は背が低いので気にならなかった。
【焼山頂上】 大きな山容の焼山に隠れて、縦走中に恵那山は見られなかった。焼山頂上に着くと一気に目の前に恵那山が広がり感動する。デルタ関数的な展望の変化はここまで縦走してきた疲れを吹き飛ばしてくれる。15分休憩の予定だったが、時間を気にせず満足するまで展望を楽しんでしまった。
【焼山からの展望】 恵那山を望む一級展望地!鯉子岳・大川入山?・阿岳もばっちり。
【作業道発見】 予定では1628mピークから南尾根を下る予定なので、まずは焼山から1628mピークを目指す。ただ、1628mピーク付近に作業道があることは、ロクロ天井〜焼山縦走中にはっきりと見えていたので、これを利用することを決めていた。作業道は谷道と尾根道と大きく2ルートあるようで、本日は尾根道を利用した。谷道は『美濃の山3』で紹介されている道と一部重複いしていると思われる。1628mピーク付近から見た恵那山と笹原もなかなか趣があった。
【作業道】 笹を刈った跡というのは結構歩きにくい。笹の刈り跡があると、靴裏全体を地面に置こうとしても、意識と別のところに靴裏が向いてしまうことがあるからだ。転ばないように注意しながら尾根を下った。正面に見える長大な尾根を先ほど自分で歩いてきたと思うとうれしくなる。 山腹を横断するように徐々に高度を落とし沢を横切り、林道終点に向かう。こちらの作業道はあまり歩かれていないのかもしれない。一番初めの谷沢を横切る時に続きの道が見当たらず、沢に下りてしまった。途中で間違えたことに気がつき戻ったが、目印リボンはたくさんついているので、しっかりと探しながら歩けば以降は大丈夫だった。
【阿木林道】 先述した谷道の作業道と合流するものの、なかなか林道に出合わないので地図とにらめっこしながら歩く。「標高1220m林班界標4445国有林口〜4.8km」の赤白看板を見て安心するとすぐに林道に出合った。作業道の入り口は地形図の林道終点よりやや手前にがあったということだ。「歩道入口44○○」の白いプレートが立っていたが、マジックで書かれた文字は消えかかっていて読めなかった。 焼山が「お疲れ」と言ってくれているようだった。せっかくなので林道終点の砂防ダムまで散歩してあとは阿木林道をテクテクと歩いてゲートに戻った。槇平の広場手前に廃屋が見られたが、『飛騨の山々(国境編)』で紹介されているロクロ天井のルートはここが入り口なのだろう。
【総評】 ・なかなか入れないルートで焼山に登頂でき、素晴らしい景色を満喫でき、大満足の山行となった。 ・ロクロ天井〜焼山区間は目印テープ等ほとんど無かった。 ・冷たい強風が終始吹きあげていたので、太陽が出ていなかったら非常に厳しい行程になっていたと思う。 ・残雪シーズン1つ目は無事に終了。今年は花よりも残雪登山重視でガンガン登るぞ! ・この地方は例年に比べて雪がずっと少ないようだ。雪の量が多かったらヤブ漕ぎはもっと楽だっただろう。 ・熊と思われる大きな足跡を生で見てぞっとした。熊に対する豊富かつ正確な知識と新しい装備の必要性を感じた。とりあえず今使っているものと音色の違う熊鈴と熊撃退スプレーを買っておこう。 |